フランスと日本の教育環境の違いについて
皆さんこんにちは。雑賀です。
パリから帰国して1週間が経過して、ようやく通常のライフスタイル感覚を
取り戻してきたように感じています。
週末は、等々力競技場にてフロンターレ対マリノス戦を観戦!!
お互いしばらく敗戦していないチーム同士&人気チーム同士だからか
2万人の大観衆でしたね!! 風間フロンターレのやろうとしていること
も色濃く出て来て、かなりボールポゼッションの高いサッカーへとレベルアップ
していることがよくわかりました!! 結果は0対0のドローでした。
今朝、EUROでイングランドがPKにてイタリアに敗戦・・・
個人的に長らくイングランドを応援している(ほとんど意地みたいなもの)
事情もあり、少し悲しい1週間のスタートとなりました(>_<)
まあそれはさておき・・・もう少しパリ研修ネタを引きずりましょう!!
パリへはただの観光ではなくあくまでも研修旅行で行ってきたわけですから、
幼稚園視察についても少し整理しておきましょう。
今回は、パリから約40km郊外にある「サンメール幼稚園」
「フレンヌの幼稚園」(正式名称が決定していないので地名で呼んでいる)
と比較的パリの近郊エリアにある「ルイ・パスツール幼稚園」の
3園を見学する機会を得ました。
フランスの幼稚園事情と日本の幼稚園事情の大きな違いは、
まず公立運営と私立運営の割合です。
日本では全体の幼稚園数の約65%程度が私立幼稚園ですが、
フランスでは全体の9割が公立の幼稚園になります。
日本よりも幼小の連携がうまく機能しており、幼稚園は3学年、小学校は5学年で
構成されています。日本と同じように幼稚園は義務教育ではありませんが、
小学校からの義務教育に備えるための準備教育としての位置づけが
確立されているため、ほぼ100%近い子どもたちが幼稚園に通っているそうです。
フランスでも日本同様、子どもの肖像権や個人情報の問題には厳しい規制があり、
子どもがわかってしまうような写真はNGなのでご了承ください。
また、運営体制も日本とは大きく異なります。
簡単に整理すると、園のソフト面は国が責任を持ち、ハード面は市町村が責任を持つ
ことで役割分担が明確化されています。つまり国と地方の共同経営スタイルになります。
1村に1校を開設しなければならない義務があり、その幼稚園や学校は
無宗教、無償、無政治といった中立的立場の教育環境づくりが徹底されています。
また、地方などでは、各市町村が協力して市町村共同教育体なるものを構成しており、
学校運営について共同で助け合いながらアイデアを出し合いながら共同運営している構造もあります。
もちろん給食やスクールバスなどのサービス機能もあります。
「サンメール幼稚園」の例で言えば、当初給食利用者は全体の50%程度だろうと予想していたところ、
実際には80%の利用者があるらしく供給体制の再構築を検討されていました。
また、現在市町村が負担する形で「託児システム」の整備を進めているとのこと・・・
具体的には朝の7時から夜の7時まで子どもを預かる体制を構築していくそうです。
つまり、日本同様にフランスでも幼稚園の総合サービス化が進んでいるということでしょうね。
ソフト面は国が責任を持つという話をしましたが、ソフト面には、教育方針から
具体的な教育カリキュラム、教育ツール開発、そして先生の採用や育成というものが含まれます。
ちなみに、先生になるためには厳しいハードルが設けられており、
フランスにおける中等教育修了時の国家試験である「バカロレア」を取得した後に、
5年間の専門課程教育を受ける必要があります。
(以前は3年間だったが、5年間となり志願者が減少している)その上で試験に合格し、
採用テストをクリアしてようやく国家公務員として先生になることができるのです。
現在の倍率は約20倍ですが、以前は約35倍とかなり狭き門になっているようです。
この教諭になるためのフランスと日本とのハードルの違いは・・・
考えさせられる背景の違いでしょうね。日本で人材育成に悩んでいる園長がたくさん
いらっしゃるとは思いますが・・・日本は誰でも簡単に教諭になれてしまうという仕組み
がひとつの要因だとフランスに行ってよくわかりましたね。
さて今後どのようなハードルを設定していけばよいのでしょうか??
今回は全体の運営体制について整理しましたが、
近いうちにより現場に近い情報を整理したいと思います。