プロダクトアウトとマーケットインのバランス ~総合的価値&独自固有の価値づくり~
- 2023.09.08
- MESSAGE園トータルサポートCONSULTING
マーケットイン プロダクトアウト 園運営 総合的価値 独自固有の価値
今日は台風の影響でイレギュラー対応をしている人たちも多いことでしょう。
我が家の子ども達は、カッパを着て頑張って登校していきました。休校になっているエリアも多いようですが、逗子市は違うようです・・・
自分も今日は外出する仕事ではなく、自宅オフィスで仕事をする日でしたので助かりました。
最近の経営相談の現場で感じたことを今日は書こうかなと思います。
パートナーシップを組んでいる会社を通じて、相談にのってほしい案件があるとのことでご紹介いただいた幼稚園。
かつては多くの園児がいたのですが、今の園児数は40名程度になって、経営的に厳しい状況でここ数年が経過。もう将来的に再建できるイメージもないとモチベーションが下がっている70代の理事長兼園長先生。
園の立地的なマーケットポテンシャルはそんなに悪くなく、近隣の競合となる幼稚園を少し調べてみると、全体的には園児減少傾向ではあるが、200人以上園児を確保できている幼稚園もちらほら。つまり、エリア内で勝ち組と負け組がはっきりしている状態。
かれこれ、幼稚園のコンサルタントをして20年以上の月日が流れますので、現場に足を運んで少し園長先生や現場の先生とお話しをしたり、園全体の雰囲気を感じ取れれば、再生可能案件か、難しい案件はある程度判断できるようになりました。
今回の自分なりの初期ステージでの判断では、『再生可能案件』
もちろん、そこから運営実態や財務面などの詳細を確認しないと確実なる判断はできないわけですが、近隣の子どもの数は大きく減少しているエリアではないこと、園のハード面や環境面もメンテナンス等をそれなりにしっかりされているので、印象的にはポジティブに感じられることなどなど。
しかし、ここ10数年のプロセスの中で100人以上の園児が減少してしまった要因は確実にあるわけで、そこを園長先生とお話しをしながら探っていくことになりますが、今回の案件についてはある意味、わかりやすい要因でした。
それは、『昔のフォーマットのまま、運営継続してきてしまった』ということですね。
園長先生のご意見をうかがうと、『親子が一緒にいる時間が一番大切』ということで、教育時間以外の預かり保育や延長保育、それに加えて、子育て支援プログラム等の拡充をあえて取り入れることを否としてきたというお話。つまり、ここ十数年何も変えずに運営してきたということ。
もちろん、私も『親子が一緒にいる時間が一番大切』という意見には賛成派ですが、昔のような家庭のライフスタイルとは今は異なり、働くママが増えている現状の中で、そのこだわりを強く固辞しすぎてしまうと、どうしても昔のような園児数は維持しにくいのが現実。
そこで今回お伝えしたいのが、
『プロダクトアウトとマーケットインのバランス』
マーケティング用語ですが、
プロダクトアウトとは、自分たちの視点や考え方をベースにやりたいことや提供したいことを推し進めていくこと。
マーケットインとは、市場やユーザーやお客様の視点やニーズをベースに商品やサービスを開発して提供していくこと。
どちらが良いとか悪いとかではないのですが、上記の園長先生とお話しをしていると、少々プロダクトアウトへのウェートが高すぎるのが課題なのかなと思うわけです。
『そのプロダクトアウトはひとりよがりになってはいませんか?』
ということなんですよね。こだわりを持って園運営をしていくことはとても大切な要素だと思うのですが、そのこだわりを固辞しすぎて、執着みたいになっている方にたまに遭遇することがあります。まあこれはご高齢の方に多い傾向があるのかなと。
まあ、再生への取り組み事項でも即座にいくつかやらなければならないことが頭に浮かび、例えば、
『私学助成』から『新制度』(施設型給付⇒こども園化)への移行
園児募集プロセスの構造改善
広報戦略の見直し
組織のマインドセット&意識改革(インナーブランディング)等・・・
そんな方向性について簡単にイメージを共有してもらうためにお話をさせていただいたのですが、園長先生としてはポジティブな反応というよりは、もうそんなパワーは自分にない・・・といった反応のように私には感じました。
確かに、それはそうだと思うので、今は私のネットワークを活用して新たなモチベーションを持った園長候補とのご縁をつないで、法人全体の運営メンバーの刷新も含めて、再生シナリオについて作成会議を進めている段階ではあります。
これは自分自身のコンサルティング経験の中で感じていることなのですが、どんなビジネスや組織でも柔軟性をもって時流適応していくことが生存確率を上げていくポイント。
こだわりを持つことが悪いことではありまんが、そのこだわりが誰にも評価されないものだとしたら残念ながら価値はないですよね。それこそ”ひとりよがり”・・・
プロダクトアウトにもポイントがあって、
『マーケットインの思考が付加されたプロダクトアウト』
であることが大切ではないでしょうか。それならばひとりよがりになりにくい。それはバランスを常に意識するということですよね。ここのさじ加減が経営センスでもあるのかなと。
そしてコンサルタントとしてもう1点思っていることは、競争や競合が激しい状態(成長から成熟期)になればなるほど、マーケットインのバランスをそのステージでは意識的に高めたほうがいいということ。
その競争ステージでその他の競合相手と比べて、マーケットニーズに合わせた総合的価値を上げていくことで、経営安定させることを優先すべきだと考えています。
総合的価値づくりに向けて、保育的機能の付加も大きな要素になります。だからこその新制度へのシフトチェンジは時流適応と言えるのです。園児が3分の1に減ってしまったら保育料を3倍にすればいいという考え方もありますが、それは非現実的ですからね。
そのステージでとるべき戦略を間違えず、経営安定をさせた上で次に取り組んでいくのが、本当の意味での『プロダクトアウト戦略』(ブランディング)
『総合的価値づくり』+『独自固有の価値づくり』
=『地域一番&ハイブランドの確立』
このプロセスを中長期的に着実に進めていければ、そんなに運営に困ることははいはず。このプロセスを時流適応性を大切にしながら柔軟性を持って進めていける組織が勝ち残る。弊社CLPとしてはそんなプロセスを大切に思いながら、コンサルティングのお手伝いをしています。
そして、弊社として『独自固有の価値づくり』としてわかりやすくコンセプト化しているのが
『地域の教育総合コミュニティ施設への進化』
上記コンセプトについて解説している過去のブログ記事をいくつかリンクしておきますので詳細を知りたい方はご一読ください。
おおまかに運営進化のステージ分けをすると、お伝えしたように
①総合的価値づくりのステージ(マーケットインバランス重視)
②独自固有の価値づくりのステージ(プロダクトアウトバランス重視)
と整理することができます。故に弊社CLPは、その園が実際に置かれているステージに合わせてコンサルティングの内容も変えながら対応しています。
地域ではある程度ブランドが確立されて経営安定しているところには、地域の教育総合コミュニティ施設化に向けた成長ストーリーを提示しています。
『親子が一緒にいる時間が一番大切』というこだわりについては、このステージで存分にカタチにすることを大切にしていますし、更に進めて、子ども達と地域の人たちが互いに高め合えるつながりを増やしていくことも大きな価値づくりだと思ってプロデュースしています。
日々、ご縁をいただいた園のご相談に乗っているわけですが、それぞれの成長ステージには大きな差異があるので、そのステージに合わせたアドバイスやコンサルティングができるのが弊社CLPの強みなのかなとも思っています。
今日は、ある幼稚園の相談案件から感じた、プロダクトアウトとマーケットインのバランスについて書いてみました。やはり、こだわりは大切だけれど、それが執着やひとりよがりになってしまったら、どんな時代でもうまくいかないと思いますね。時流適応性と柔軟性を常に意識していくことが成功ポイントなんでしょうね。
お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。
※明日から1泊2日でファミリーキャンプに行ってきます。だから午後からキャンプ準備DAY。 なんとか天気が大丈夫そうでよかった~