脳の短絡化と問題解決能力の関係 ~自らの体験と経験を通じて答えを導き出す~
- 2022.10.05
- MESSAGEPERSONAL COACHING
インターネットの検索エンジンの人気上位は、Google、Yahoo、Bingなどかと思いますが、これらの検索エンジンを使わない日がないくらい、皆さんは日々情報検索&リサーチをしていると思います。もちろん自分自身もこれらにYouTubeを加えて、日々ビジネスでもプライベートでも欲しい情報をリサーチする日々。
そんな状態が当たり前となり、調べたい、知りたいと思う情報が検索&リサーチをすれば簡単に手に入る時代になって、とても素晴らしい環境だと思う反面、それとは逆に失うものもあるのではないか・・・と感じている自分がいます。
先日のブログ記事で『脳の短絡化』という表現をしましたが、今日はそのワードをテーマに書きたいと思います。
『脳の短絡化とは?』
情報がなんでもすぐに入手できる環境の中で、脳が活性化するために考える、試行錯誤する時間が圧縮されることによって、脳の働きが十分に高められない状態が継続されてしまうこと。
そんな解説になるのでしょうか。
ビジネスやプライベートでも何かの壁にぶち当たったり、問題を抱えたりしたときに、そこをクリアしていくための情報を検索&リサーチする。その結果として見つかるものは『明確な答え』ではなく『答えらしきもの』でしょう。
なぜならば、自分が今置かれている状況と全く同じ事例や背景などは存在しないからです。そこで『答えらしきもの』を参考にして試行錯誤しながら、それらの情報と自分の状況の差異を考えながら、壁を突破したり問題解決していくための具体的なプランや道筋をイメージしていく。
そうやって書けば、当たり前の進め方だと思う方が多いかと・・・
でも、試行錯誤をするプロセスを排除して、完全一致する『明確な答え』があることを信じて、やたらと情報検索している時間が多い人。そんな人もこの環境の中で増えている気がしてなりません。それを続けていると途中から自分にとって都合の良い情報の検索に成り代わっていくパターンに陥るのかなとも思います。
もちろん、専門家や経験豊富な知見を持った人達が発信している情報には価値があるものが多いことは事実だと思います。でもそんな情報を入手したときに少し危険かなと思うのが・・・
「あの人が言っているから間違いないだろう」
「あの専門家が言っているからそうしたほうがいい」
といった言動が多い人。自分で考えて試行錯誤して、問題解決の糸口やそこにつながる答えを生みだそうとするのではなく、誰かが発信している答えらしき情報を探しているだけの人なんだろうなと思うのです。
情報を探すのがたやすくなり過ぎたからこそ、その環境の中で起こっているのが、上記のようなそこに関わる人達の『脳の短絡化』傾向なのかなと。
自分の感覚値で言えば、講演会で黒板に漢字を書こうとしたら、思い出せないときがあって焦るときがちょこちょこあります。日々パソコンを打っていれば勝手に文字変換してくれるので、そこで考えるというプロセスが排除されていますからね~。まさにその時間に『脳の短絡化』が起こっていると言えるでしょう。
だからといって、パソコンやネットを排除した生活をしましょうなんて言うつもりはないですし、それはそれで非現実的なわけで、上手に活用していくことはとても有意義なことだと思っています。
でも、検索&リサーチして入手した情報の数々を『そのまま鵜呑みにしすぎない』という点が大切ですよね。
もう少し大きな視点で考えると、生きていれば日々自分のまわりで、自分の意図やイメージに反する課題や問題が起こるわけです。それをクリアして前に進んでいけるか否かでその人の評価や信頼の差がついていきますし、そのプロセスの中で人は成長していきますよね。皆さんの人生を振り返ってもそう思える方が多いのかなと。
それらを総称して『問題解決能力』と言ってよいかと思うのですが、社会の中で生きていく1人の人間として自分としてはものすごく大切な能力だと思っています。
一人の人間として自立していくためには、あらゆる問題を解決していかなければならないわけで、ある意味、自立と『問題解決能力』はセットで考えるべきなのかと。逆の言い方をすれば、問題解決能力がないと人は自立していけないということ。
「自分の人生ステージやキャリアや立場が変化していく中で、身の回りで発生する問題や課題も変化する。だからそれを1つずつクリアしていくのはある意味、成長するためのトレーニングだと捉えたらいい。」
そんなことをある社長に言われたことを思い出します。
そんなシーンの中であらゆる情報を入手していくことはもちろん大切なのですが、それらを鵜呑みにしすぎず、参考にしながら、自分なりに考えて試行錯誤することが有効なトレーニングタイムになる。つまり・・・
『答えを自分なりに生み出し続けるという時間がその人の力となり自立度を高めていく。』
でも、そんなシーンの中で、自ら考えて試行錯誤する時間が排除されて、答えらしき情報を鵜呑みにしすぎてそこに依存しすぎてしまうとあきらかに、問題解決能力は高まっていかないのかなと・・・
そんな背景の中で、今あらゆる仕事の現場で、目の前で起こっている問題に対して、認識はあれど、解決のための手立てや改善策を具体的にプランニングして実行できる人が少なくなっているなと感じている自分がいます。
『自分がやらなくても誰かがやってくれるだろうというちょっとした依存感覚』
これが、組織の中で充満していると自分としてはその組織はちょっとした病気にかかっているなという感覚で捉えます。それぞれ意見はあるし、主張もあるけれど、全体を調整して具体的な対策を立てて実行するまでには至らない。だから、そこにある問題がいつまでたっても解決されない。
皆さん悪気はないことはわかるのですが、そういう状況をけっこう多くの組織で感じとる中で、そもそもそうなっている背景は・・・
「情報入手がたやすくなった環境変化の中で、答えを検索&リサーチして探すという習慣がついてしまい、答えらしきものから問題解決につなげていくプロセスのトレーニングが排除されてしまった人が以前より増えたから?」
という自分なりの仮説があります。 皆さんはどう思いますか?
このような部分が、検索&リサーチなどの便利になった環境の中で、逆に失われている部分かなと。素晴らしい環境は上手に活用しながらも、上記のような『脳の短絡化』を助長しないように注意したほうがよいでしょうね。
大事なことは・・・
『自らの体験や経験を通じて導き出した答え』が自分の中にたくさんストックされていくような時間を過ごすということではないでしょうか。
最後に自分が大切にしている言葉を・・・
体験から生まれた知識は人を動かす力を持つ
体験に基づかない知識は人を惑わすものとなる
そして知識は活用するチャンスを経て知恵となる
お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。