幼稚園の機能付加モデル『児童発達支援事業』 ~スケールダウン&機能付加への挑戦~
- 2022.06.02
- 園トータルサポートCONSULTING
機能付加 幼稚園 保育園 認定こども園 未来戦略 教育総合コミュニティ 児童発達支援事業
6月に入り、気温もだいぶ高まってきました。
最近、コンサルティング先の幼稚園や知り合いの園の方々で、園舎を建て替えたり、そのプランニング中だったりするところがちらほら・・・
「既存の延長線の運営モデルから未来に向けて園舎設計やら運営コンセプトなど、どうシフトチェンジをはかっていけばよいのか?」
そんなご相談を多くの理事長や園長先生からいただくのですが、弊社CLPが提唱している園の未来戦略は、
『地域の教育総合コミュニティ施設への進化』
詳細は以下のサイトページをご覧ください。
いわゆる、私学助成スタイルの今まで通り運営モデルでは、中長期的にかなり厳しい運営を強いられることがわかっています。少子化と地域競争の激化の流れの中で、幼稚園で年々園児が増えているところはかなり少なくなっていますし、現場のコンサルタントとしての感覚では、7割~8割の幼稚園が園児数減少傾向といった実態でしょうか。
時代の流れの中で、幼稚園型認定こども園や幼保連携型認定こども園への運営モデル変更に踏み切る園もありますが、最近は、やりたいと手を上げても予算枠がすでになくなっている地域が増えてきています。
先日も埼玉のコンサルティング先の幼稚園で、2年後を見越して園舎建て替えをプランニングしていく上で、運営スタイルの可能性として認定こども園化の話を行政に打診したところ、『すでに枠はもうありません。』との回答。
そんな各々の園が置かれている地域情勢の中で、どう変化していくべきなのか?
いろいろな考え方があっていいとは思いますが、かつて300人とか400人とか園児が在籍した園でも、今は半分以下になってしまっているところもたくさんあります。そんな園が未来に向けて園舎を建て替えるとするならば・・・『スケールダウン』というのがまず現実的でしょう。
でも、それは、後ろ向きではなく前向きな『スケールダウン』
これから、V字回復させて元々の300人とか400人に戻していけるか?
今の2倍の園児数に増やすことが可能か?
それはかなり非現実的な夢物語だと思います。
だから、上記のコンサルティング先には、現状の実態にある程度合わせたサイズへのスケールダウンをしましょうというご提案をしています。つまり、『園児数が多いからすごい園、素晴らしい園』という価値観を転換していく必要があるということ。
但し、スケールダウンしただけだと単なる縮小化というネガティブな発想になりがちなので、スケールダウンして建設費を押さえながら、以前園舎で埋まっていたけれど、サイズダウンしてできたスペースに、地域の教育コミュニティ施設化へ向けた機能を付加していくことで地域における新たな付加価値と新たな接点を生み出すことが大切になります。
『どんな機能付加ができるのだろうか?』
と考えることになるわけですが、園が持っているポテンシャルと地域ニーズのマッチングを考えて行けばある程度のアイデアがでてくるでしょう。学童保育機能、子育て支援プログラム提供機能、預かり保育機能、地域交流機能などなど。
以前、鹿児島でいち早く上記のモデル構築に取り組んでいただいた認定こども園では、地域交流機能として、パン工房とカフェを敷地内に機能付加していただきました。その他、料理教室などができるレベルの給排水を備えた体験工房、そしてピザ窯を作ったので、親子でピザ作り体験もできますし、その他いろいろなワークショップもプロデュースして地域交流拠点化しています。それに加えて、プチ図書館も作ったので地域の子ども達が本を借りに来ることで卒園生との継続的接点づくり機能もあります。休みの日には、機能付加した施設の中心に大きなウッドデッキがあるので、そのスペースで子ども達の洋服や靴やおもちゃなどを集めてフリーマーケットなども開催しています。
そして、最近注目している機能付加モデルが・・・
『児童発達支援事業』
簡単に解説すると、
児童発達支援とは、障害児通所支援の一つで、小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが主に通い、支援を受けるための施設。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供したりといった障害児への支援を目的にしている。2012年の児童福祉法改正で定められスタートした制度。障害のある子どもが住んでいる地域で療育や支援を受けやすくするために設けられた。
グラフが示すように、少子化により子ども達の数は減少しているのですが、その中での発達障害児の割合は増加傾向にありその割合は5%~10%になるだろうという認識になっています。そんな状況の中で、発達障害児(グレーゾーン)の受け皿が不足しているという地域がほとんど。
そんな実態もあって、今は積極的に施設開発を進めていくための国からの後押し風土があるわけです。そして、地域子育て支援というテーマにおいても社会インフラとしてとても必要とされているのが、児童発達支援。
『少し障害がある子なんだけど、加配でスタッフをつけないとならないので大変』
『最近、入園してくる子ども達、入園してからの子ども達に少し気になる子や発達遅延傾向が見られる子どもが増えているな~』
『本当はお断りするのは心苦しいけれども、今の当園の体制ではあの子を受け入れることができない』
そんなことを日々感じている園長先生が多いのではないでしょうか。
今まで、それは別の領域と分けて考えていたかもしれませんが、その対象となる子どもや保護者にとって一番良い環境づくりとは何かを考えれば、園と同敷地内に専門対応できる施設があることが、一番安心ですし、信頼もできるということ。
今日は自分が未来創造戦略室長というポジションで関わっている企業での打ち合わせだったのですが、まさに、児童発達支援事業を今後の1つの事業軸として発展させていくための戦略会議。すでに、1号店を開発してすでに事業スタートしているのですが、これから直営施設を複数展開していく予定です。
昨日の夜は、ある人気幼稚園の園長先生からオーダーを受けて会食をしながらの2時間のスポット経営相談。以前から上記の情報提供をしていたら、たまたま園の隣地が売りに出て、それを購入する予定で話を進めているから、購入できたら「児童発達支援事業の機能付加」も視野に入れたいので開設準備サポートをしてほしいという内容。
先日は、私が数多く見てきた中でもトップランクに入る立派ででハイセンスな園舎を建設された認定こども園に園舎を見学しにいったら、所有していた広大な土地に新設したので、もともとの園舎はまだそのままにしているけれどどうしたら?・・・という話の中で機能付加可能性として「児童発達支援事業」の情報を提供したら、近隣にまだちゃんとした施設がないようなので、ぜひ地域の子育て支援充実のためにも施設開発に向けて準備を進めていきたいとの話がありました。
やはり、成功しているところほど、トップのアンテナ&感度がハイレベルであり、既存モデルからのブラッシュアップの方向性を常に考えて運営されているなと感じますね。
おそらく、そのような方々の発想と未来戦略の中に『児童発達支援事業』はマッチングが良いと思うので、園と同施設内での開設モデルが増えていくだろうなと自分は捉えています。
今日の打ち合わせでも話題になったのですが、地域によってはすでに総量規制がかかっているところがでてきているようです。熊本と水戸と言っていましたが・・・ということで興味がある方はなるべく早めに取り組まないと、認定こども園と同じように、手を上げても申請できないなんて状況がでてくるかもしれません。
また、経営や収支面で見ても・・・
『高収益かつ安定的なストック収益構造』
10名定員、既存の1教室のサイズで運営可能であり、100%稼働を維持できれば1日10万円の売上が立つ運営モデル。結果として20~30%と高い利益率を実現できる事業。また、認可事業で売上の9割以上が国からの報酬になるので回収リスクもほとんどない事業構造になっている。年間で1000万円以上利益を想定できるモデル。もちろん、幼稚園と同じように無償化対象モデルでもあります。
そして、地域や社会の子育て実態に対して今必要とされている社会インフラの担い手となりますので、自園の地域ブランディングの面でもプラスの効果があると思いますね。
まあ、いろいろと書きましたが、未来に向けてこれから運営戦略を見直していく必要のある幼稚園。CLPが未来戦略のキーコンセプトと提言しているのは『『地域の教育総合コミュニティ施設への進化』
教育総合コミュニティ施設化への進化のステージで、今機能付加をする上で、園と地域をつなぐ価値ある機能として、今『児童発達支援事業』がおススメですし、かなり注目されているという話でした。
弊社CLPとしても、すでにいくつかの事業開発コンサルティングの依頼があります。この記事をお読みになっている園長先生や関係者の中で、更に詳しい情報が知りたいと思った方や開発コンサルティングご興味があるという方は気軽に弊社にお問い合わせ下さい。
お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。