言葉のパワーと智慧の3段階 ~情報に魂を入れる!!~
- 2022.04.28
- PERSONAL COACHING講演&研修CONSULTING
明日からGWがスタート。皆さんのご予定はいかがでしょうか。
我が家は特別なイベントや旅行などの予定は特になし。ちょろっと家族でお出かけする程度になりそうです。
研修などで『言葉のパワー』という話をすることがあります。人間は1日に約5万~6万語の言葉を脳から発信しているそうです。言葉として発する以外にも、独りごとであったり、妄想の中で登場してくる言語だったり・・・
それだけの量の言葉を毎日唱えているわけですから、その内容がポジティブなのかネガティブなのかで自分への影響度が大きく違ってくる。日々当たり前に習慣的に発している言葉なので、あまり自分の言葉の中身やフレーズを意識していない人が多いかもしれませんが、あらためて自分がよく使う言葉を意識的にひろってみるとよいかもしれません。無意識に使っている言葉の中で、ポジティブフレーズが多いのかネガティブフレーズが多いのか??自分でわからなかったら、身近にいる人に聞いてみるとあらたな自分に気づくきっかけになるかもしれませんね。
人間の脳は生まれたままの状態ではネガティブ脳になっているそうです。それにはちゃんと意味があって、防衛的本能が備わっているということ。まわりの状態にある程度臆病で警戒心を働かせることで、危険予測する必要があり、赤ちゃんや子どもの頃はとくにそれが本能的に備わってる必要があるわけです。
つまり、人間は意識的にポジティブに自分で方向付けしていかないとネガティブ脳を引きずってしまうことになる。その方向付けで重要なのが、自分が発信したり唱えたりする言葉ということになります。
だから、自分は職業柄、その人が発する言葉を注意深く拾う習性がありますかね。それをある程度把握することで、その人の精神状態や基本的なマインドタイプを把握する必要があるので・・・
『言葉は自分をよい方向に導くためのパワーを秘めている』
だからこそ、自分が無意識に使っている言葉を意識して大切にしたほうがよいということになりますよね。私はこれをセルフコミュニケーションと言っています。成功して上手くいっている人の言葉と、なんだかいろいろなことが上手くいっていない人の言葉を意識的に拾ってみるとすごく差があることに気づくはずです。それは、セルフコミュニケーションの質が明らかに違うからに他なりません。
上手くいっていない人が無意識に使ってしまうフレーズは、『できない』『わからない』『難しい』などなど。自分はこれらのフレーズを”思考停止フレーズ”とネーミングしています。その言葉を使うことで、自分が考えることやチャレンジすることを辞める指令を脳にだしていることと一緒ですからね~
だから、思考停止フレーズを普段から連発して使って時間を過ごしている人は基本的には何をやっても上手く行かない人だと思ってよいでしょう。まわりや相手のせいではなくて、自分のせいですからね。
そんな言葉の大切さから派生して・・・
『説明できないことを人前で話すのは無責任である』
これは、私が若い頃に当時の先輩に何回か言われたフレーズです。20代の前半から研修講師や講演会の機会が与えられ、未熟ながら頑張ってきたわけですが、まだ経験値が足りないときに、情報武装をして本番に挑むのですが、いざ、お客様に質問されると、上手く回答できないときもありましたね。
そんなときに、先輩から手厳しい一言が。でも当たり前のことなんですけどね。
ここで反省すべきなのは、情報をインプットしているときに都合の良さそうな聞こえのよさそうな言葉やフレーズに出会うこともあるのですが、それをかっこつけてそのまま使ってしまっていたということ。
情報をただ伝えているだけの人と、それを相手にわかりやすくその人の役に立つレベルでプレゼンテーションできる人の差は大きい。自分はこれを知恵(智慧)の3段階という話で教わりました。昔は知恵を智慧と書いたらしいですね。
その人が持っている智慧(ちえ)には3段階のレベル差が存在するという話。
レベル①:聞慧(もんえ)
レベル②:思慧(しえ)
レベル③:修慧(しゅうえ)
聞慧は、ただ聞きかじっただけの智慧。つまりそれは誰かが発信したもののコピーでしかない。
思慧は、インプットした情報に自分なりの考えや解釈や翻訳のプロセスを付け加えた智慧。
修慧は、自分の体験や経験を通じて身を持って体得した智慧。
つまり、当時の自分は伝達している内容の中に、聞慧のレベルの智慧が混在していたということになりますよね。あくまでも聞きかじったコピーでしかないので、つっこまれるとちゃんと説明できない。
『説明できない=理解していない』
ということになりますよね。少なくとも、聞慧のレベルを思慧のレベルまで高めてから人に伝えないと無責任なわけですよね。このような現象は、最近巷でもよく起こっている現象なんだろうなと思います。
情報検索や情報収集に関しては、今ヤフーやグーグルやYouTubeを活用すればいくらでも集まってきます。だからこそ、聞慧のレベルの情報量はたやすく手に入る。そんな環境が今そこにあるが故に、聞慧レベルでの会話が横行してしまっているのではないかと思うわけです。
いざ、突っ込んで質問されると、ちゃんと説明できずフリーズしてしまう人も多いのかなと・・・そしてまた検索してその説明を探す・・・それを繰り返している人達は一生聞慧のレベルの智慧しか持ち得ない。
特に社会人としてキャリアアップして先輩やリーダーやマネージャーになっていく人は、人を指導したり育成したりする立場になっていくわけですから、聞慧を思慧や修慧のレベルに高めていく努力をしていく必要があるのですが、その立場になってもいまだに聞慧で指導している人達に遭遇することがあります。
ネットで検索した資料を持ってきて、ただそれを伝えて、頑張れと言われても人は動きません。それはただの情報ですから。
『情報に魂を入れる』
というステージアップの努力が不足しているんですよね~
魂の入っている言葉を語れる人とそうでない人の差は、キャリアが上げれば上がるほど大きい。これは自分の経験則でも実感しているのですが、人前で1時間講演することにすごく緊張して、とりあえず情報武装することに必死で間違ったかっこつけ方をしていたその当時の自分を今の自分が振り返ると、レベルが低い状態だったなと。
でも、場数と経験値が増えて、少しずつ自分なりの思いや考えやそれを踏まえた熱意を入れ込みながらメッセージ伝達ができるようになっていくにつれて、受講者の反応に変化が見えたんですよね~。そんな自分なりの変化の中で名刺交換してくれる方も増えましたし、最後に握手してくださいと言われる方なども・・・
この変化のプロセスがまさに、自分の中での智慧のステージアップの実感となります。自分の中で、魂の入ったメッセージ伝達が段階的にできるようになっていったということでしょう。トップやリーダー向けのプレゼンテーションスキルの講義などでは、上記のような話もお伝えしています。
”魂を入れる”とお伝えすると、気合を入れて話すという解釈する人もいるかと思うのですが、それとはちょっとニュアンスが違います。気合だけでも人の心は動かないわけで、そこには・・・
『思いや考えをわかりやすく言語化するスキル』
が必要となります。
言語化は指導者やリーダーになる人達にとってもとても大切だとよく言われています。でもその大前提は前述しましたが、聞慧の言語化ではあまり意味がないということ。思慧と修慧のレベルにおける言語化が求められます。そして、相手の理解度や意識レベルに応じて、その内容を上手く調整できるスキルも必要になりますよね。
先日、ふとYouTubeを見ていたら、中村憲剛が「ボランチに大切な能力は?」という質問に対して、『言語化』と回答していました。チームの攻守のバランスやスイッチングを担うボランチにとって、全体のメンバーにわかりやすく自分の意図やプレーの方向性を伝える能力が必要だということでしょう。
現役の頃からそうやって言語化のスキルを意識して鍛えてきたものが、今解説者として多いに活かされていると思います。彼の解説はとてもわかりやすいですし、サッカーを見ているあらゆるレベルの人への配慮が感じられるとてもクレバーな解説ですよね。
若い人とお話ししているときに・・・
『なんとなくわかったつもりでいることを、そのままにしない』
というアドバイスを送ることがあります。これも昔自分が上司や先輩方に言われ続けたこと。自分も含めて、皆さんもなんとなくわかったつもりのことで済ましている情報が多くないですか??
逆に今は便利な世の中ですから、携帯たたけば、とりあえずなんとなくの状態からステージアップすることは簡単にできます。この簡単にできるプロセスを普段やり続けているか、そうでないかでかなり差がつくと思いませんか?でも、なんとなくのままにしてしまうのが多くの人の現実かなと。
なんとなく状態からステージアップして、聞慧レベルではなく、思慧&修慧のレベルに高めていくことを人よりちょっと意識的にやっていくだけで、中長期的には大きな差になっていく。それをやり続けることで、人に何かをわかりやすく指導できる人になっていける。そう思っています。
そのために、このブログをCLPを起業したときから書き続けている自分がいます。もう少しで1500記事に到達します。基本的には、何かの体験や情報インプットに対して、自分なりの見解や思いや解釈を書くことを基本ルールにしているので、その行為は、聞慧を思慧に転換する行為となります。そして、自分の経験則や体験則から感じたことや学びにつながったポイントを整理することを心がけて書いているので、その行為は修慧のレパートリーを増やす行為となります。
ということで、智慧のレベルアップの方法論は人それぞれでしょうが、自分の場合は今のところこのブログを書き続けることが1つの重要な要素かなと思って取り組んでおります。皆さんもあらためて、1日5万~6万も発信している言葉のパワーを意識して、なんとなくわかっていることをそのままにせず、智慧のレベルアップを図っていただくことで、更にハッピーになっていただけたらと思います。
お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。