兆しとほころびをタイムリーに察知する ~トップ&リーダーの大切な役割~
- 2021.12.14
- CONSULTINGMESSAGE
先日のブログで、『組織や個人で当たり前のレベルが大きく異なる』
だからこそ、トップ&リーダーは、『組織の当たり前のレベルを上げていく』ことが大きな役割であり、そのレベルが高い組織やチームほど業績が良い傾向にある。という話をしました。
それに加えて、コンサルティングの現場でトップ&リーダークラスの方に1つの大切な役割としてよくお伝えしていることがあります。それは・・・
『兆しとほころびをタイムリーに察知する』 ということ!!
何らかのビジネスをしていたり、チーム全体のマネジメントを任されていたりする人に対してアドバイスをさせていただく機会が多いわけですが、この能力の有無や差異をとても強く感じますね。
兆し(きざし)というのは、一般的に『物事が起こることを予想させるようなしるし』という意味だそうですが、ここでは、”良いことが起こる予兆”と解釈していただければと思います。
良いことが起こる予兆というのは、あらゆる指標や情報から捉えることができるはずなのですが、そこに敏感にアンテナを張っている人もいれば、とても鈍感タイプな人もいますよね。
すべてが上手くいっている組織もありませんし、すべてが上手くいっていない組織もありません。もしそう思っている方がいるとしたら、個人的には自分自身がそう思い込んでいるだけですよとお伝えしています。だって、あらゆる視点で現状の指標や情報を因数分解していけば、すべてが良いこともないし、すべてが悪いこともないという事実が見えてくるのです。
例えば、売上が全体的にかなり落ち込んでいても、いくつかの商品の売上は伸びている。この商品の粗利は増えているとか、このカテゴリー(階層)のお客様の数は増えているとか・・・
つまり、全体概要としてはネガティブに感じてしまう状況でも、細かい要素に目を向けていくと、ポジティブな要素は以外とピックアップできることがあるんですよね。
これを、私としては『兆し』と表現しているわけです。
全体概要がネガティブ状況でも、このような小さな兆し(ポジティブ要素)を察知して、次なる成長因子としてフォーカスしていく姿勢がとても大切だと思っています。トップ&リーダーがもうダメだ・・・なんて勝手に思い込んでしまうと組織全体がそれにつられて、兆しを見つけられなくなってしまうのです。
兆しは何もデータだけで判断すべきものではありません。社員一人ひとりの表情や店頭でのお客様の動き、世の中の時流やトレンドと自社事業のマッチングレベル、あらゆるシーンや情報にアンテナを張ってインプットをしていれば、必ず前向きな”兆し”を発見することができます。
本日、仕事&プライベートが絡んだ案件で、関係者3人で逗子でランチミーティングをしていたのですが、ある釣り具メーカーでルアーを製造している会社の社員さんの話題になりました。コロナの影響でネガティブな予想をして、製造量を調整しないといけないな~と思っていたら、逆にコロナの影響で釣りブームが到来しているようで、過去最高益を達成したというお話。
まさに、この事例は世の中の時流やトレンドと自社事業のマッチングレベルが高まったという良い兆しなわけですよね。それを悪い要素と捉えていたのですが、それこそ勝手な思い込みだったということ。
皆がネガティブに思い込んでいるときや逆境を感じているときにこそ、トップ&リーダーの兆し察知力が問われると思っています。全体のネガティブをポジティブマインドに方向付けできるか否かはそういう視点を持っている人間がそこに存在するかしないかで大きく違ってくるでしょう。
”ほころび”という言葉も個人的にはコンサルティング現場でよく使う言葉なのですが、特に重要なのは”小さなほころび”の段階で察知できるか否か!! 大きなほころび、つまり大きなクレームや大きなミスや事故になればだれでもわかるわけですが、大きなほころびは、そこに至るまでのプロセスの中に必ず小さなほころびがいくつか発生しているのです。その段階で誰も気づけずそのまま放置状態にしていた結果として、クレームやミスや事故が起きる。
このようなことを『ハインリッヒの法則』と言ったりしますよね。
大ごとになってから対応するのは大変ですし、そこに関わる人達に精神的、肉体的、時間的にもそれ相応の負荷や負担がかかります。であるならば、そうなる前に対応しておいたほうが賢くて効果的、効率的であるということ。大きなほころびの後始末は大変なんですよね~
ほころびについても察知する指標は一緒で、データから見つけられることもあれば、現場のシーンや社員の雰囲気など、あらゆるモノゴトからつかみ取る必要があります。そして、小さなダメージの段階でもしくはダメージになる手前の段階で打ち手を打てるか否かが重要。
そうやって、トップ&リーダーは、その他の人がまだ気づけていない『小さな兆し』『小さなほころび』をいち早く的確にタイムリーに察知することが求められますよね。もちろん察知するだけではなく、兆しを更なる成長につなげていく具体的な方法や取組を決めて実行していくこと、ほころびが更に悪化しないようにそこに歯止めをかけて、今後同じことが起こらないようにするための根本的な改善策を実行していくことが大切です。
一般的にこれらの能力はもちろんキャリアや経験値が高まることで、高まっていく傾向はありますが、必ず全員がそうなるということでもありません。自分の経験則で言えば、トップ&リーダーが兆しとほころびに無頓着でアンテナのレベルが低い組織とチームのメンバーは同じようにアンテナのレベルが低くなり、結果として大きなほころびに対する後始末の時間に振り回されている傾向が・・・
もちろん、後始末のネガティブタイムが多くなればなるほど、現場社員のモチベーションも上がらず、前向きで成長につながるアクションの時間よりも、元になんとか戻すためのアクションの時間が多くなる。成長する時間をとれず、元に戻す時間で精一杯であれば業績も上がりにくいのは当然の結果ですよね。
ということで、『兆しとほころびをタイムリーに察知する』ことがあらゆる意味で大切だと思いますし、特にトップ&リーダーという立場でお仕事をしている方の重要な役割だと思います。ぜひ、日々の中で常に発生している兆しとほころびに意識を向けていただき、常に的確な打ち手を打ちづづけることで組織やチームのベストパフォーマンスにつなげていただきたいと思います。
今日は、普段の仕事の中でトップ&リーダーの方々によくお伝えしていることをメッセージにしてみました。
お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。