先回り&ワープの落とし穴? ~お膳立ての行く末=フリーズ型人間~
- 2021.10.05
- 講演&研修PERSONAL COACHING
自分も含めて、子育ては理想やイメージ通りにはなかなか上手くいかない・・・
なんて思っている方も多いでしょうし、職業柄そんな方々から相談を受ける機会などもあります。保護者向けの講演会などもたまにご依頼を受けるのですが、そんなときに私がお話しする内容の一部について少しこのブログでも発信しておこうかなと思います。
当然、人が育つプロセスの中で、最も大きな影響を受けるのは『人』
生まれてから大人になるまでには、良くも悪くもまわりにいる人たちの影響の中で育ちますよね。
特に乳児期、幼児期、小学生、中学生、高校生くらいまでは、自分の両親やその家族と過ごす時間が多くなるのが一般的かと思います。
大人たちは、自分の経験則の中で・・・
「この状況では、次はこうなるだろう・・・」
「このままでは、うまくいかない・・・」
「こうやったら、うまくいく・・・
「こうすれば、失敗しないですむ・・・」
なんてことを、ある程度予想したり、予測したりする力を身に着けています。
そして、自分の子どもや近くにいる子どもの様子や状況を見ながら、予想される、予測される未来が自分にとってネガティブなものだと、そうならないように、手を差し伸べるわけですよね。
それは、悪いことだとは思わないのですが、なんでもかんでも失敗させないように手を差し伸べすぎるのは、その子にとって長い目で見たら本当の手助けではないと思うのです。
私はそれを『先回りの落とし穴』とお伝えしています。
その子にとってのゴールや終着点をまわりの大人たちがどこに置いているかによって、手助けの仕方やバランスは異なってくると思うのですが、基本的に、子どもたちのゴールは、『社会に出て自分の力で生きていけること』=『自立』ではないでしょうか
その子のまわりの人たちが、あまりにも先回りしていろいろとお膳立てしすぎた環境を作ってしまうと、その子はどうなるのか??自分の本当の力の認識を間違えてしまいますよね~
そして、社会に出て、最初に感じること・・・
「こんなはずではないと思った・・・」
「こんなに自分ができないとは思わなかった・・・」
それもそのはず、だって、あなたは今までその他大勢の近くにいる大人たちにたくさんのお膳立てをされた環境の中で、失敗が少なかっただけですから。まさか、すべてのあらゆることを自分だけの力で乗り越えたと思っていたんですか??ということになる
コーチングの概念に、「ベイビーステップ」というものがあるのですが、赤ちゃんが生まれてから、寝返りをしてハイハイをしてつかまり立ちして、歩けるようになって、筋肉がついて走れるようになるという段階的な成長があるように、物事や目標も一つずつ然るべきステップを着実に進まないとゴールまでたどり着けないですよ~ということです。
でも、先回りされ、お膳立てされた環境では、然るべきステップは他人に手によって用意され、本人が知らぬ間にワープしながら、進んでいることになるわけです。落とし穴に気づいていないまわりの大人たちの関わり方によって次に進むための然るべきステップが何かを・・・
①自分の頭で考えて学ぶ機会
②考えて悩んで見つけ出す機会
③苦労して突破口を見つけ出して、次に進める喜びを体感する機会
これらの、成長&自立していくために大切な機会を習得する時間を失うわけです。
この先回りとはワープのことですが、このワープこそ落とし穴・・・
ワープを多くしてきた人が、いざ社会に出て、学生時代よりもお膳立てが急に減少した環境に身を置き、何かの壁にぶち当たったとします。
そんな人は、そこから前進していくために必要な、上記の①②③の機会が与えられず、練習するチャンスを奪われていたために、どうしていいのかわからずフリーズしますでも、先回りの落とし穴を理解してちゃんと、練習するチャンスを与えてきた大人がいる環境で育ってきた人間は、もがいて考えてなんとか突破しようとします
何かの壁にぶち当たったときに・・・
A:フリーズする人間なのか
B:もがいて考えてなんとか突破しようとする人間なのか
AさんとBさんどちらが最終的に社会で活躍できる付加価値の高い魅力的な人間になっていけるのか・・・答えは明確ですよね。いくら、お勉強ができる人だとしても、社会に出て、日々フリーズしていたら役に立たないですからね今までは、フリーズしていると誰かが出てきて、次の階段を用意してくれたのかもしれませんが・・・ そこまでいちいち面倒見てくれないのも社会の厳しさ
例えば、テレビ番組で「はじめてのおつかいシリーズ」がありますあの番組は最近特に、自分の子どもとかぶってしまって涙なしには見られないのですがあれこそわかりやすい例ではないないでしょうか
最初から最後まで自分でやりきるには、途中でたくさんの階段や壁に遭遇するわけです。店まで道を間違わないか、買い物するものを忘れず伝えられるか、おつりをもらえるか、帰りみちも、重い荷物をどうやって運ぶか等々 そのプロセスにおいては、命の危険が予測される場合を除いては、誰も先回りしたりお膳立てしないわけです。
その時間の中には、その子の本物の喜怒哀楽が凝縮しているわけです。不安な気持ち、うまくいかない憤り、失敗してしまった悲しみ、最後お母さんと抱き合って涙しながら喜ぶ気持ち・・・
以前のブログ記事で、『人間の器は、喜怒哀楽の振れ幅なり』というものを書いてけっこう反響をいただいたのですが、まさに、子どもの喜怒哀楽があの時間の中に凝縮されているテレビプログラムだと思います。そしてそれを見守る親の喜怒哀楽も凝縮されています。そんな時間や環境が人の器を大きくするのだと思います。
残念ながら、先回りの落とし穴にはまっている子どもは、上記の子どもたちよりも喜怒哀楽の幅が少ない日々を送ることになります。
お膳立てが多いから、苦しみ、悩み、悲しみ、喜びもすべて中途半端な日々本物の喜怒哀楽ではなく、偽物の喜怒哀楽と付き合っていく日々ある意味そんな子どもはかわいそうだと思ってしまいますね
だから、社会に出ても、私の経験則では、そういう育ちの人は感情表現が上手ではない方が多いように感じていますだって、本当の喜怒哀楽体験を積んできていないですからね~どうやって自分を表現したらいいかわからないので余計フリーズしていく・・・故に、まわりの人たちはその人が思っているメッセージを受け取りずらいという悪循環が生じていきます
そんな育ちの差が、社会のいろいろな場所で今まさに具現化されているということなんだろうな~と自分では感じていますし自分なりに整理しています。
『先回りの落とし穴』
過度な先回り、お膳立ての行く末=フリーズ型人間の育成??
そんな落とし穴にはまらないように自分も親として常に意識して過ごしたいと思います
お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。