BlogHappy Mind Creator

「でんかのヤマグチ」から学ぶ~安売り時代の高売り戦略!!

 
IMG_0545yamaguti

東京、町田市にある「でんかのヤマグチ」はいわゆる街の電器屋です。

町田市と言えば小田急のメイン駅の一つでもあり、大手量販店は、ヨドバシカメラ
コジマ電器、ヤマダ電機・・・をはじめ今や6店舗が凌ぎを削る激戦区となっています。

しかし、そこで街の電器屋である「でんかのヤマグチ」は、大手量販店とガチンコ勝負して
見事に素晴らしい業績を上げているモデル企業なのです。
2010年3月期の売上高は12億8000万円、粗利益率は39%!!を達成。
「カンブリア宮殿」や「ルビコンの決断」を観た人は知っているかもしれませんね。

昨日は、その経営エッセンスの勉強ということで、山口勉社長の講演会に行ってきました!!
山口社長は、金なし、電話なし、事務所なしでマツダのファミリアのライトバン一つしかない
状態で商売をスタートしたそうです。その時の年齢は23歳・・・

講演タイトルは「指名ナンバーワン商店の戦い方」
やはり、不況の中、弱者が強者に勝つ戦略を知りたい人が多いのでしょう・・・
200名規模の会場は満席状態でしたね~。

私がメモをしたスタディーポイントを少しご紹介します。

【指名ナンバーワン商店の戦い方】

★大手量販店の戦略・・・安売り戦略 ⇔ ヤマグチの戦略・・・”高売り”戦略
一般的な街の電器屋の粗利益率・・・25%~26%
一般的な大手量販店の粗利益率・・・15%~16%
町田エリアに大手量販店が進出してきたとき3割程度の売上ダウンを予想した。
そこで、目指したのが、粗利益率35%への挑戦!!(10年計画でゴールセッティング)

★高売り戦略を進めるために
 
 ①顧客リストのスリムアップと優良客に対するアプローチ強化
34000件あった顧客世帯リストを1/3に絞り込んだ
 ・4~5年間、購入実績のないリストをカット
 ・よく買ってくれるけれど、値切る人のリストをカット
 ・よく買ってくれるけれと、クレーマーのリストをカット
絞り込んだリストを9つのカテゴリーに分けて、カテゴリーごとに最適なアプローチをする

 ②売上計画の廃止⇒粗利益計画へ
 ・新人の営業マンには、自分の電卓の「÷」「5」「6」に印をつけさせて、
仕入れ値÷65%=売値という感覚を徹底するように教育(売上でなく粗利で考える)
 ・月次決算ではなく、”日次決算”のシステムを導入して、毎日数字を社長がチェックする
 ・個人別の粗利ランキングの発表、上位者は、そのランキングを家庭にFAX送信!!
 ・売掛の禁止・・・月末に集金したり回収したりする時間こそ生産性が上がらない要因

 ③自社主催のイベント開催
 ・お客様が来店して楽しめるイベントの定期開催
(男爵まつり、かつおまつり、さんままつり、エゾシカまつりなど)
 ・お寺での商品展示イベントも開催

 ④自分たちで自分たちに合うお客様を選ぶ覚悟!! そして徹底的に”裏サービス”をする
 ・1万円以上の購入者には翌日社長からの手紙送付
 ・モノを売ることが自分たちの仕事ではない
⇒お客様を自宅まで送ってあげる、玄関の履物をすべて揃えてあげる・・・
 ・そして、そのような”裏サービス”の事例を全員で共有している

 といったような内容がおおまかなものです。

 渋谷の街を歩けば、270円均一の居酒屋の看板がたくさん出てきているように、
 安売り戦略で勝負する企業もあり・・・しかし、このように高売り戦略で業績を伸ばす会社もあり・・・
 これは、なにが正しいという議論よりも、トップの経営スタンスで決まることでしょうね。

 しかし、資本力のないところは安売り戦略をとると最終的に体力負けすることは目に見えています。
 目先の売上が欲しくてやったことではあるが、売上が上がっても利益が確保できないなんてことでは
 会社は存続できませんね。自分も経営者として肝に銘じなければなりません。

 実際に、「でんかのヤマグチ」は、粗利益率35%目標をスタートしてから7年でその目標をほぼ達成
 したそうです。その時点での売上ダウンは22%・・・
 結果として、売上がダウンしても10年前に2億~3億あった借金を完全返済して無借金経営へ!!

 つまり、高売り戦略で粗利率35%へ挑戦していなければ、おそらくかなり厳しい運営を強いられて
 いたことになりますね。

 以前、あるかなり大手の電器メーカーの系列である街の電器屋さんの後継者対象の
 経営勉強会の講師を全国各地に出張しながら担当していた経験があります。

 その際にも「でんかのヤマグチ」のことも参考にしながら、1日9時間くらいしゃべりまくっていたこと
 を思い出しました。あれもすごく良い経験と勉強になったな~。
 同じようなことを伝えてはいたのですが、参加した方々の業績がアップしているとうれしいですね。

 簡単に言えば、「量販店と同じ土俵で勝負しようとするな!!」ということですね。
 ターゲットを絞り込み、自分たちのできることを徹底することが大切です。

 今の時代は、何を買うかよりも誰から買うかが顧客心理としては重要視されていますからね!!
 スーパーに行けば、「〇〇産の△△農園の◆◆さんが作ったキュウリ!!」なんて
 POPがたくさんありますよね。

 だから、一人ひとりに平均的な対応をするよりも、自分たちに合うお客様に絞り込んで、その人が
 感動するような対応をできる体制にチェンジすることで、高い商品でも売ることができるのです。
 「でんかのヤマグチ」は、売り手の人柄とセットで商品&サービスの価値づくりをしている
 企業の好事例でしょう。成功しているところってほぼこのスタイルですけどね。

 山口社長は、量販店が進出してきてくれてありがたかったとさえおっしゃっていました。
 考えて考えて考え抜くことで、この戦略が導きされたからだそうです。
 成功されているからこそ言える言葉ですね~。

 そして、今、ハイアール・グループのアドバイザーとしても活動されているそうです・・・
 ハイアール・グループって知ってますか??
 白物家電ブランドのマーケットシェアで世界ナンバーワンの中国の家電メーカーですね。
 なんと、世界ナンバーワンメーカーが街の電器屋さんの経営ノウハウを吸収しようとしている・・・
 なんとなく、中国のパワーと末恐ろしさを感じます。日本はこのままで大丈夫なのか??

 山口社長から素晴らしい話を聞けて、自分の頭の中が整理整頓できた気がします。
 いろいろなことに活かして行けそうです。
 
 
 
 

0

一覧を見る